EPO事例研究会報告

■報告

第1回 EPO事例研究会報告  

 5月22日(土)・大阪市東淀川区の日本キリスト教団淡路教会堂にて。
  『人格障害が疑われる 〜試行錯誤の支援の現場〜』
 社福)路交館「ういずサポートセンター守口(多機能型事業所)」管理者・岡戸亜希子さん。 助言者:精神科医師、稲垣亮介さん(吹田市「さわらび診療所」)

 

記念すべき第1回当日は、路交館職員および、EPOの会員等40名ほどの参加があった。
私たちの「現場が抱えるさまざまな困難」は、ある種の「援助手法等」によって「支援者」に伝授するようなものではない。まさに題目通りの「試行錯誤の支援の現場」を支援者自身の言葉で語っていただき、そこに潜む課題を参加者各々に感じとってもらい、各自の視点や思いで論議するものである。
第1回 EPO事例研究会そこから垣間見えるものは、私たちが日常良かれと思い発している言葉の「権威性」であったりする。支援上の答えも必ずしも明確に導かれるわけではなく、議論自体も噛み合わない場合もあるだろう。が、そこで「関係性とは?」という問いや、自らの「価値観への揺らぎ」を少なからず共有していくことができれば私自身は成功だと感じている。まだまだ、私たちの現場では根源的に問い直すことが山積みである。
下記、参加者である路交館職員の方の感想を報告に代えて掲載します。
*事例研究のケースに直接かかわったスタッフとして、非常に興味深い話しが聞けました。稲垣先生のお話では、「人格障害という診断を捨てた」という言葉が印象的でした。医師の立場からの視点だけで患者を分類することは無意味だということは、私たちsy回復し従事者・生活支援者にも言えることだと思います。私たちは、日々障がい者と呼ばれる人たちの生活支援をしているわけですが、職員の視点、職員の都合、職員の価値観に利用者をはめ込もうとしていることが、少なからずあると思います。路交館ではしばしば耳にする「専門家が普通を忘れている」「専門家にはなりたくない」ということがそれにあたるのかと感じています。私たちはどこまで利用者により添えているのか?今回はその戒めだったと思います。
しかし、同時にケースを振り返って、彼女にあの時点でどうすることが一番良かったのか?と考えると、なかなかにその答えは難しく、再び同じような問題を抱える利用者に対峙したときに、一歩でも、半歩でも進んだ支援が出来るかと言われると、また同じ事を繰り返してしまうような気もしています。こういうと、あのときの支援が間違ったものだという感じがしますが、そういうことでもないと思います。
知識を積み上げても、その先に納得行く支援の姿がなかなかイメージできない。あれから3ヶ月以上が過ぎましたが、未だにケースの彼女の事を思い出してモヤモヤしてしまう。だからと言って「彼女はあのての人だから」と割り切るのは、今回の勉強会の趣旨からも、ちょっと違うのでしょう。どうにも、上手にまとめられない思い、それが今回の感想です。(おさこ健二)
まさに彼女(利用者)という「あなた」を巡って、この感想を書いた職員は人としての「揺らぎ」の世界を感じ取ったのであろう。極めて真っ当で素朴な印象を私は抱いた。(EPO鍋島)


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